また逢う日まで

2017年8月、愛する人が亡くなりました。ただただ悲しい気持ちばかりですが、現実と向き合いながら生きていこうと思います。この世にはもういないけれど、また逢える日を信じて。

サーフボード

毎朝起きると、夜中に目が覚めると
必ずサーフボードに目がいく。
なんでこんなところにあるのだろうか・・・
実家にあるはずのない、この部屋にあるはずのない
ボードがどうしてここに。不思議だ。
残されたファンボードとショートボード。
「かしてー」
ファンボードはプレゼントしてくれたのに
結構な頻度で使ってたよね。
使用料とるよって言うと「ひどい奴だな」って笑って
うちが貸すの知ってて言うんだから。


いつも彼の家に置いてあった。
海に行く日は、ボードとウエット、水(お湯)を積んできてくれて
うちは水着を着ていくだけ。
最近でこそ彼の家に行っていたから一緒にやっていたけど
少し前までは彼がすべてやってくれていた。


午前なら『9ねー』、午後なら『1ねー』
迷ってる時は『海いくー?』
ラインはだいたいこれだけ。


海に着いたら一服しながら波チェック。
「○○にちょうどいいじゃん」波がない日の言葉。
波が大きいとすぐにでも入りたがってた。
一緒に入るんじゃなくて、うちが準備運動してる間に
ささっと先にいっちゃうんだよね。
でも波待ちしてる時ちらちら見てさ、
位置確認もあるけど一応気にしてくれてたらしい。
自分の中で少しでも波が高い日は
彼がいないと沖にすら出られなかった。
「置いていかないでよ」理不尽にも怒ったことすらある。
こんなうちを見捨てない彼はほんとにすごい。


今でもサーフィンしてる姿が浮かぶ。
くせが分かるから遠くからでも見つけられたよ。
かっこよかった。楽しんでいきいきしてたな。
うちが入らない時、決まって言ってた言葉。
「ちょろっと入ってくるね」
時計もつけてないのにいつも1時間であがってくる。
最後の方は、「もっと右の方がいいよ」とか
「あれいかなきゃもったいないよ」とか
うちなんかがえらそうにコーチングしてたね。
それでも笑って「じゃあもう一回いってこようかな」って。
うちは浜から彼のサーフィンを見ててたまに動画とったりして。
録画した中に、最後の1本を乗り終えて陸にあがってくるのがある。
ちょっと照れくさそうに、いつも通りに・・・生きている。
「まぁまぁだね」
これまたお決まりで、いい波だったなんて言う日はほぼなかった。
海外を経験してるともの足りないのかな。


海からあがったら一服、着替えて自販機で飲み物買ってさ
うちが一人でひたすら喋ってたよね。


何歳になってもショートボードをのる
そう言っていた彼とそんな日が当たり前にくると思っていた私。
根拠なんてないのに、彼ならするような気がしてた。
このままサーフィンライフが続いていくと信じていた。
これからもずっと一緒に波乗りして、
うまくなっていく姿もみて欲しかった。
まだたったの3年だよ・・・


あぁ・・・泣けてくる。
少し思いだしただけでもだめみたい。
薄れないうちに書いておこう、そう思ってたけど
その心配はまだまだなさそうだね。
サーフィンのことはいっぱい書きたいことがある。
思い出なんかにしたくないけど
彼が愛したものだから
彼に教えてもらったものだから
人生を変えてくれたものだから。


すべてが詰まったサーフボード。
次使う時には、もう彼はいない。
一緒に行くことも、海あがりのおしゃべりもない。
もしかして着いてきてくれるのかな、話聞いてくれるのかな、
見守っていてくれるのかな、そんな風にも思ってみるけど。
一人じゃいやだ、一緒がいい
こんなうちをまだまだおいていかないでよ
今はまだこっちの気持ちが強いかな。
ここにあるボードをまた使う日はくるのかな・・・。


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