また逢う日まで

2017年8月、愛する人が亡くなりました。ただただ悲しい気持ちばかりですが、現実と向き合いながら生きていこうと思います。この世にはもういないけれど、また逢える日を信じて。

また一歩

午後から仕事の付き合いがあった。

それでも休みがあったら

勇気があったら

まずは彼の元へ、実家に行きたいと思っていた。


8ヶ月振りの訪問。

働き始めて

やっと堂々と会いに行けることになった。

何も変わってないようだ。

彼の車は息子さんが使うことになったようで

寂しかったけど少し嬉しくも思った。


みんな元気そうで一安心。

彼がいないことだけが

たまらなく寂しかった。


「これから増やしていこうね」

そう話してた明日葉は

大きくなったらしく、食べることもないみたい。


思い出話に

泣かないようにと決めていたが

お母さんの流す涙に私も耐えられなかった。

変わっているようでやっぱり変わってない…

あの日のまま…

彼がいなくなった時のまま…


「これからだったのにねぇ」

みんなで出掛ける約束をして

彼との未来を見ていたあの頃はあったはずなのに

本当にもうないのか…

明るく振る舞って

何事もないように笑えているけど


やっぱり彼のいない人生を

受け入れることができない。

ふわふわとした

誰の人生かも分からないような

そんな日々。


○○がいたら

今頃…。


嫌だなぁ、いないなんて。

つまらない、楽しくない、嫌だ。

そう思っても、そう嘆いても

戻らない、現実。


戻りたい、彼のところに帰りたい

もういないなんてあり得ないよ。


それでもまた一歩踏み出してしまったんだね。

一歩

覚えることばかりで

毎日があっという間に過ぎていく


嫌なことも、辛いと思うことも多い。


それでもただ一日を生きている

彼に気付くような日もあって

彼がいたことを

思い出して泣く日もある


連休がもらえて

いつも行っていた美容院に行った。

7月…

彼のお母さんが病院行くついでに

池袋の美容院行って以来。

なんだか髪型を変えたくなくて

ずっと放置していた。

そろそろと思ってやっと。


「海入るんですか?」

その言葉に一瞬戸惑う。


そう言えば

「サーフィンやるんで髪痛むんですよね」

「今の仕事は大丈夫なんで明るめで」

そんなことを幸せそうに言っていたに違いない。


もうやらないんだけどな…

そう思ったけど

「暖かくなったら入りたいですね」

そう答えるしかなかった。

もう彼はいないのだと

改めて思い知らされた。


早く見せたくて…

「いいじゃん」

その言葉を言って欲しくて。

もう見せる彼が、褒めてくれる彼がいない。


切ることができなかった髪の毛

サーフィンのために長く伸ばした前髪

あの頃に戻った髪型。


写真の彼に報告するしかないのか…。


「○○どう?」

何か言ってよ。

あの頃に

怒られた時、やらかした時は

「○○のせいだからね」

と笑ってやり過ごす


誰かに嫌な気持ちになった時

内心、それなら私も

そういうやり方でやろう

と思ってしまうけど

彼が教えてくれた優しさを思い出す


そうやって…

生きていくしかないのだろうな。


死んだら終わりなのだから

どんな嫌なことも

イラつくことも

その日死んでしまえば

どうでもいいことなのだから。


そう思えても仕事が終わると

一緒にお酒を飲みながら

写真の彼に愚痴を言う。


○○が生きていたら

きっと、弱音ばかり吐いているのかな


自分を偽ることなく

ありのままの気持ちをぶつけて

嫌だ、行きたくない、辞めたい…なんて

甘えて。


「辞めちゃいなー」

って笑って言ってくれるよね。


天気がいいほど

星空が綺麗なほど

彼のいない寂しさがある。


もう一度、あの頃に戻りたいな


強がってみても

やっぱりそう、思ってしまう。