また逢う日まで

2017年8月、愛する人が亡くなりました。ただただ悲しい気持ちばかりですが、現実と向き合いながら生きていこうと思います。この世にはもういないけれど、また逢える日を信じて。

絶望①

彼がいなくなってから何もかも変わった。

今の生活もこれからの未来も…


絶望


何気ない毎日。

お昼に会いに来てくれて少し話して帰っていく

夜にきてうちが作ったご飯を食べて早朝帰っていく

そんな変わりない日々。

「行ってきてくださいなー」

買い物めんどくさ…料理作らなきゃ…

そう思ってたことが懐かしい。

「ただいまくん」「疲れたび」

「おかえりくん」「お疲れさん」

その言葉が懐かしい。

会えることがどれだけ幸せだったのか。

今になって、当たり前だと思ってたことが

どれほど幸せな時間だったのか思い知らされる。


歩いてくる音、ドアを開ける音。

彼の姿、表情、声。

思い出すことはできるのに感じることができない。


会いたい、会いたい、会いたい。


同じように過ごしてるのに

彼だけがいなくて。

泣いても、願っても何も変わらなくて。

ドラマやマンガのような出会いががあるわけない

そう言われてるのに

なんでドラマやマンガのような別れはあるのだろう。

神社や恋愛成就、ミサンガに願いを込めてきた。

『彼とずっと一緒にいられますように』

叶わなかった。

神様はいない…そう思ってしまう。

死ぬ1ヶ月前、一緒におみくじをひいた。

私は末吉…恋愛『あきらめなさい』

神様はいた…お告げだったのかもしれない。

彼は「うるさいわ」そう言ってた。

あの時は笑えてたことが今では笑えないこと。


よく死ぬことについては話してた。

でも心配性なうちが先に死ぬ前提で。

うちがガンだったら?「ガーン(笑)」

うちが殺されたら?「そいつ殺す(笑)」

彼が死ぬことなんて考えてなかった。

自分が先のことばかりだった。

突然自分が死ぬことを考えて

遺書を書いてたし

「うちが死んだらリュックいっぱいに

お菓子をつめてね、三途の川で待ってるから」

そう伝えたこともあった。


冗談だから言えてたこと。

「それまで生きてないんじゃない」

「そう言ってる人ほどポックリ死んじゃうよね」

そう言うといつも

「死なないさー」「大丈夫さー」

決まってその言葉が返ってくる。

ねぇ…本当にそうなっちゃったじゃん。

嘘つき。もう笑えないよ。


約束いっぱいしたよね。

何度も行ったディズニー、新しくなったら行こう

東京オリンピックのサーフィン、早めにホテルとろう

来年の沖縄、また同じとこ泊まろう

おうちおいで

台湾行こう

パラオやサイパンもいいね

二人きりの結婚式あげよう

子供の話だってしてたじゃん。

まだ何一つ叶えてないよ。

この約束どうするの。

「今度来たら焼肉ね」

間近の約束さえも叶えてないのに。


想像した未来と叶わないたくさんの約束

私だけではもうどうすることもできない。

彼がいないと一人じゃ何もできない。

ごみ捨てだって、早起きも夜の外出だって

お金もないし、生きることだって。

サーフィンも一人でしたことない。

「大丈夫、任せて」

彼に甘えてすべて頼りきっていた。

彼がいるからできたことばかり。

情けないけどそれが今の自分。


うちも一緒に連れていって。

永遠に未読のLINE

どうしていきなり死んでしまったの。

どうしてうちを置いていったの。

どうして神様は彼を連れていったの。


そう思っては胸がつまって息が苦しくなる。


いつもはうちのことも海に誘ってくれるのに

その日だけは聞くことすらもなかった。

なんで一人で行ったのかな。

前日泊まってれば一緒に行ってたのに。

「台風だと波が大きすぎてつまらない」

そう言ったような気がする。

でもいつもは聞いてくれるのに。


その日の彼の財布には、

おろしたお金が入ってた。

普段2000円しか入ってないのに

二人の食費、渡してくれるんだったよね。

買い物する予定だったもんね。


今でも残る

「買い物するんじゃなかったの?」

携帯を変えて初めてのLINE。

履歴が一つも残ってない。

彼がいいって言ってくれたから

ガラケーにしたんだよ。

かぶらないように色を変えたんだよ。


送った時刻…

彼の死亡時間ぴったりだった。

偶然なのか…

もしかしてうちの連絡を

待っていてくれたのだろうか。

安心して旅立ったのか。

既読がつかないまま、あの日のまま。


朝早く電話すれば、LINEすれば…

泊まっていたら

一緒にいれたのかな。

いれても彼は死んじゃったのかな。

火葬

8月7日。

つい彼がいなくなってしまう時、

火葬する日がきてしまった。

亡くなってからも毎日顔が見れた。

顔を見ながら話ができた。

それができなくなる。

触れることもできなくなって、

写真と自分の記憶の中でしか

いなくなってしまう。

返事してよ、いつまで寝てるの。

このままそばにいたいよ。


お葬式もせず親族だけで火葬する 。

ありがたいことに参加させてくれて

しかも送る準備まで手伝わせてくれた。

感謝の気持ちでいっぱい。

手が冷たい…

涙がでるよりもなんで

こんなことをしてるのか分からなかった。

ただ彼の顔を頭に焼きつけたくて

ずっと目をそらさなかった。

亡くなった人は自分の葬式を見てるという。

今、ここにいますか?何を思っていますか?


よく行くサーフスポットの通り道、

「ここらへんは全部ここの火葬場だよ」

そう教えてもらったことがある。

まさか初めてが彼になるなんて。


ついにこの時が。いれられちゃう。

さよなら、大好き、愛してる。

少し強がって思ってみる。


心の準備がないまま彼の元奥さんもきた。

えっ…こんなことってあるの。

彼がいないのに会わなくちゃいけないの。

あっ…いないのから会うのか。

彼に何回か話を聞いたことがある。

別れた理由は知っていたけど

他のことを興味本位で聞くと

「もう覚えてない」しか言ってくれなかった。

優しさかなとも思ったけど

彼の性格的に本当に過去になっていたみたい。

だけどご両親も受け入れて

子供にとっては実のお母さんだし。


なんでこんなことに。

ドラマじゃないんだから。

心の中で文句を言ってやった。

いつものように謝らないで

「あれれれ」って

ごまかしてるんだろうな。


昔祖父が亡くなった時、

出てきた姿に泣きじゃくった記憶がある。

なのに…なぜか涙がでなかった。

受け入れてたつもりでいたようだ。

やっぱりどこか不思議な感覚…

彼じゃないような、他人事のような。


なんにも考えられないのに

悲しみだけは消えてくれない。


すごく疲れた。